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理学療法の知識と基礎 病院・クリニック・介護施設の勤務を経て辿りついた思いです.

足関節内反捻挫           
 

足関節内反捻挫とは?

捻挫の定義:捻挫とは、外力により関節が正常に動ける範囲以上に動かされたために生じた、関節包や靱帯などの軟部組織の損傷である。

足関節捻挫は足首に内反力や外反力が強制されて軟部組織や靱帯、骨が損傷される疾患である。年齢を問わず日常の外来診療において最もよく遭遇する疾患のひとつである。

ここでは内反捻挫について述べる。

解剖学的知識

距腿関節(talocrural joint

@脛骨の下関節面と内果ならびに腓骨外果が関節窩となり、距骨滑車が関節頭となる。

 蝶番関節である。

A底屈45°、背屈20°の運動可動性をもつ。

B運動軸は、距骨長軸に対して16°外方を向いている。

C内果(lateral malleolus)は脛骨の遠位端にあり、距骨内側面に接し、足関節に骨性

 の安定性を与え、距骨内側の1/3と関節を形成する。

D外果(lateral malleolus)は腓骨の遠位端にあり、内果よりも後方で、しかも遠位ま

 で突出している。このため外反捻挫を防ぐ。一方あまり遠位に伸びていない内果は、

 内反捻挫を防ぎきれない。

E距骨滑車の横径は前方が後方より約5o広くなっており、最大背屈位では、わずかに

 下脛腓関節での内・外果の広がりと腓骨の回旋を生じる。

Fclose-packed position:最大背屈位

 loose-packed position20°底屈位

距骨下関節(subtalar joint

@距骨の下面と踵骨上前面との関節で、前・中・後の3つの

 部分で接合する顆状関節。   

A外転・内転運動と外反し・内反し運動が可能である。

B外反し(eversion)運動は回内―外転―背屈、内反し(inversion)運動は回外―内転―底屈の複合した運動である。

C外反し20°、内反し30°の運動可動性をもつ。

 足関節は脛骨、腓骨、距骨で形成され、これらを結び付けている靱帯が関節を安定させ、動かす。これらの靱帯は、前距腓靱帯、後距腓靱帯、前脛腓靱帯、踵腓靱帯、三角靱帯である。これらの靱帯のいずれかが損傷すると、脛骨が腓骨から離れ、距骨が不安定になる。靱帯の損傷の程度によって距骨の不安定性の程度が決まる。損傷の最も多い靱帯は前距腓靱帯である。靱帯の弛緩や不安定性は慢性的な足関節の捻挫につながる。